児童教育, 幼児教育
幼児期に育むコミュニケーション能力の重要性と具体的手法
コミュニケーション能力は、家庭や学校生活、社会生活を豊かなものにするために必要な能力の1つです。コミュニケーション能力を養うためには、幼児期から適切な対応をすることが重要ですが、「どのように対処したらよいのかわからない」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、幼児期にコミュニケーション能力を育てることの重要性や、コミュニケーション能力を育てるための具体的な手法を詳しく解説します。
幼児を育児中の方やコミュニケーション能力について興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
なぜ幼児期からコミュニケーション能力を育てるのか
コミュニケーション能力とは、他人と情報を共有したり意思を疎通したりする能力のことです。
人との信頼関係を築くために重要な能力で、コミュニケーション能力が高いと学校や社会生活を円滑に送ることができ、人生の選択肢が増えて豊かになる可能性が高くなるでしょう。
幼児期からコミュニケーション能力を育てる必要がある理由については、次の2点が挙げられます。
・親子の会話がコミュニケーション能力の基礎となる
・社会的にも注目されている
親子の会話の重要性
乳・幼児期の子どもにとって、最もコミュニケーションを取る相手は親です。赤ちゃんは親の声を聞き分けることができ、ミルクを飲ませてもらったり抱っこしてもらったりすることから親子のコミュニケーションは始まっています。
その後、言葉が発達すると、会話によってコミュニケーション能力は養われます。幼児期の子どもにとって、親との会話は信頼関係や会話の基礎を築く重要なものです。この時期に会話をたくさんすると、語彙が増え、自分の気持ちを表現する方法を学ぶことができます。
社会的にも注目されている理由
コミュニケーション能力は、個人の人生を豊かにするだけでなく、社会の発展や調和にも大きな影響を与えると考えられています。
日本経済団体連合会の新卒採用に関するアンケート調査結果では、新卒採用の選考の際に、最も重視されているのはコミュニケーション能力だと言う結果が出ています。※1
文部科学省でもコミュニケーション能力を育成するよう呼びかけており、小中高校の授業ではディベート(議論)など、コミュニケーション能力を育てる内容の授業が増えています。※2
※1日本経済団体連合会の新卒採用に関するアンケート調査結果
※2文部科学省コミュニケーション推進会議「審議経過報告」
幼児期のコミュニケーションの重要性
コミュニケーション能力は、脳が発達する幼児期に養われます。特に3歳までの時期は、記憶にはほとんど残らないものの潜在意識に残るため、思考パターンが決まると考えられています。
その後変えようとしても簡単にはできないため、幼児期にコミュニケーション能力を養うことは大変重要です。
この章では、幼児期のコミュニケーションについて詳しく解説します。
・幼児のコミュニケーションの特徴
・遊びを通じたコミュニケーション能力の向上
・幼児との接し方のポイント
幼児のコミュニケーションの特徴
幼児のコミュニケーションは、以下のように年齢により異なります。
○1~2歳前半
この時期は、過去や未来などの時間軸を理解できません。そのため、会話はいつも「今」「ここ」の視点で行われます。
会話は2語文や3語文で行われ、アイコンタクトや指さしなどの共同注意(同じ対象に注意を向ける能力)が見られるようになります。
理解できないことを「わからない」と伝えることは難しく、黙り込んでしまいます。
○2歳後半~3歳前半
わからないことをわからない、と伝えることができるようになり、基本的な会話が成立するようになります。
しかし、自分の経験のみの主観的会話がほとんどで、会話中の単語の一部から他の事柄を連想してしまい、会話が脱線することもよくあります。
○3歳後半~4歳
言葉と言葉の関係性がわかるようになり、「猫は動物だ」と聞くと、猫は動物の一種だと理解できます。
聞かれたことに答えることができるようになるため、会話がスムーズになり、会話の脱線も減ります。
○5~6歳
相手の感情を読み取る能力が発達し、人の気持ちや場面を意識したコミュニケーションが取れるようになります。
また、自分の考えていることを伝える能力も増すため、会話がよりスムーズにできるようになります。
遊びを通じたコミュニケーション能力の向上
遊びは、幼児のコミュニケーション能力を伸ばすために重要です。幼児はさまざまな遊びを通して語彙力を高め、相手の気持ちを察したり自分の気持ちを伝えたりする能力を高めます。
コミュニケーション能力を高める効果がある遊びには、以下のものが挙げられます。積極的に行うとよいでしょう。
・ごっこ遊び
・なぞなぞ、しりとりなどの言葉遊び
・鬼ごっこ、かくれんぼなどの集団で行うルールがある遊び
・かるた、トランプ
幼児との接し方のポイント
幼児は、大人と同じようには会話ができません。そのため、接する時には、以下の点に注意しましょう。
○話を最後まで聞く
幼児の会話能力は低いため、スムーズにコミュニケーションが取れないことが多くあります。
イライラしてしまい、話を遮る、先回りして答えを述べる、などの態度を取ってしまうと、話す努力をやめたり、会話を楽しくないものと感じてしまったりするため、コミュニケーション能力の低下につながります。
○頭ごなしに叱ったり否定したりしない
自我が芽生えると、子どもは言うことを聞かなくなることがあります。子どもが言うことを聞かない時に、頭ごなしに叱ったり否定したりすると、子どもは傷つき会話を避けるようになることもあります。
自我の芽生えは必要なもののため、子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。だめな時は、優しくだめな理由を伝えましょう。
○幼児以外の家族との会話にも気をつける
幼児は、うまく話せなくても家庭内の様子に敏感です。
家庭内で夫婦や兄弟、祖母、祖父など幼児以外の人との会話がとげとげしていたり、少なかったりすると、不安に思い口数も少なくなります。
家族が仲良く何でも話し合う様子は、幼児のコミュニケーション能力の向上によい影響を与えます。
幼児期にコミュニケーション能力を育てるための具体的手法
コミュニケーション能力の重要さはわかったものの「どのようなことをすれば、コミュニケーション能力を育てることができるのかわからない」と思う方も多いでしょう。
コミュニケーション能力を育てるためには、以下の方法が効果的です。
・家族間であいさつを習慣づける
・会話する時間を増やす
・さまざまな人と会う機会を作る
・絵本などの読み聞かせを積極的に行う
・感想を伝えることを習慣づける
・会話以外のコミュニケーションも意識する
・質問を通じて子どもに話をさせる
・たくさん褒める
家族間であいさつを習慣づける
あいさつは、コミュニケーションのきっかけを作ります。「おはよう」「ただいま」「おやすみなさい」などのあいさつは、相手によい印象を与え、相手との絆を深めることができます。
親や家族が率先してあいさつをすると、幼児も自然とあいさつする習慣を身につけることができるでしょう。
あいさつを恥ずかしがる場合は、一緒にあいさつしたり「次は言ってみようね」と優しく促したりし、言えたら褒めてあげましょう。
会話する時間を増やす
親子の会話時間が増えるとコミュニケーション能力が養われるため、会話する時間を増やすことが大切です。
食事の準備中、食事中、入浴中などを利用して、たくさん会話をしましょう。特に入浴中は密室で親子で向き合える場所で、リラックスして話すことができるため、おすすめです。
会話をする場合は、一方的な会話ではなく、交互にキャッチボールのように行うことを教えましょう。
さまざまな人と会う機会を作る
コミュニケーション能力を高めるためには、友人、親戚、地域の人たちなど、家族以外のさまざまな人と会うことも重要です。
特に近年では、近所の大人や異年齢の友達など、さまざまな年齢の人と交流する機会が減っています。
コミュニケーション能力は、異なる年齢層の人たちと接することでより発達します。社会性や適応力も養うことができるため、地域のボランティアやイベントなどに積極的に参加するとよいでしょう。
絵本などの読み聞かせを積極的に行う
絵本を読み聞かせると、登場人物の気持ちになったり表現方法を学んだりする力が育まれ、コミュニケーション能力が高まります。文字が読めない年齢でも可能なため、積極的に行いましょう。
寝る前やお風呂上がりなどに、読み聞かせる習慣をつけるとよいでしょう。読み聞かせた後に、感想や要約を求めると読み聞かせが苦痛になる場合もあるため、避けてください。
ただし、子どもの方から感想を述べた場合は、しっかりと聞いてあげることが大切です。
感想を伝えることを習慣づける
日頃から、物事やあったことについて感想を伝えることも、コミュニケーション能力を高めるために効果的です。
自分が感じたことや考えたことを相手に伝えようとすると、表現力や思考力、コミュニケーション能力が鍛えられます。
良質の映画やテレビを一緒に見て、感想を話し合う機会を作るのもおすすめです。
会話以外のコミュニケーションも意識する
子どもは会話能力がまだ低いため、口だけで話すのではなく、身振り手振りを加えたり、感情豊かに話したりしましょう。
話を理解しやすくなり、会話を楽しいものと感じるようになります。子どもが小さなうちは、少し大げさなくらいの方が伝わりやすくなるでしょう。
親が笑顔で話したり、相づちにはうなずいたりすると、子どもも自然にまねするようになります。
また、抱っこやハグ、手をつなぐ、頭をなでる、などのスキンシップもコミュニケーションの1種です。日常的に行うと精神が安定し、情緒豊かな人間になります。
質問を通じて子どもに話をさせる
質問をすると、答えるために相手の気持ちや立場を考えたり深く物事を考えたりするため、コミュニケーション能力を高めることができます。
物事に対して「なぜ、こうなったのかな?」「どうしたらいいと思う?」など問いかけてみましょう。
答えが難しい場合は一緒に考えてあげて、子どもが出した答えには興味を持って聞くことが大切です。
たくさん褒める
子どものみでなく、人は誰しも褒められると自信がつきます。自分に自信がつくと自己肯定感が高くなり、何事にも積極的に行動できるようになってコミュニケーション能力も高まります。
些細なことでも子どもががんばった時は、そのたびにたくさん褒めてあげましょう。褒める際には、何がすごいのかが子どもに伝わるように、「○○ができたね!」など、がんばったと思う点を具体的に伝えるとよいでしょう。
まとめ
コミュニケーション能力は、人生を豊かに生きていくために重要な能力です。幼児期に最も高めることができるため、この時期に適切な対応をすることが重要です。
日常的に行うことが求められるため、この記事を参考にしてできることから取り入れることをおすすめします。
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